「係長がしんどい」のは能力不足じゃない。そう感じやすい立場の話

仕事・キャリア

係長になって初めて分かった、この仕事の辛さ

係長になってもうすぐ1年。正直しんどい。

朝起きて「また今日も…」と憂鬱になる。部下からの相談にどう返せばいいか悩む。他部署にいる先輩係長との調整で負け、仕事を押し付けられる。そして夜にベッドで「やっぱり自分には係長は向いていないんじゃないか」と考えて眠れない。

でも、最近この「しんどさ」は、私の力不足のせいだけじゃないと思うようにしています。係長という立場そのものが、そもそも構造的にストレスを抱えやすいポジションなんだと。

同じように悩んでいるアラフォー世代の皆さんに、今日は私の経験をお話しします。

1987年生まれの私たちって「谷間の世代」

私は1987年生まれ。まさにリーマンショック直撃世代です。

思えば2008年秋、リーマンショックが起きてからというもの、それまでの空気が一気に変わって、就職難になりました。

データを調べてみると2010年の大卒就職率は60.8%で、前年比7.6ポイント減という調査開始以来最大の下げ幅。一つ下の後輩2011年卒の10月時点の内定率は57.6%という過去最低水準でした。

民間企業の上位100社だけで見ても、2009年から2011年にかけて採用数が約35%も減少しています。つまり、私たちの世代は、企業に「採用されなかった世代」なんです。

あれから約15年、どこの会社の年齢構成も、40代後半~50代と20代の若手はたくさんいるのに、私たち30代後半~40代前半までの世代が極端に少ない、いびつな状態になっています。年齢構成をグラフにすると、私たちの世代だけが「谷間」になっているんです。

本来なら、もう少し上の先輩たちが係長をやってるはずですが、その世代が少ないから、まだ心の準備もないままに、私たちの世代が「繰り上げ」で係長や管理職になってしまう。これが現実です。

生意気だった部下時代の自分

恥ずかしい話ですが、私は部下時代、かなり生意気でした。(前の記事ではミスだらけというエピソードを書きましたが、その上生意気だから、やりづらい部下だったでしょうね。)

上司の判断が遅いと「なんでもっと早く決めてくれないんですか」と文句を言う。他部署との調整で押し込まれて帰ってきた上司に「ちゃんと主張してくださいよ」と怒りをぶつける。

今思えば、本当に申し訳ないことをしました。

当時の上司は、私が今感じているのと同じ苦しみを味わっていたんだと思います。でも当時の私には、それが全く分からなかった。「上司の仕事は部下の仕事を減らすことなんだから、自分の仕事しろよ」としか思っていませんでしたね。

係長になって、ようやく理解しました。あの上司がどれだけ大変だったか。そして自分がどれだけ横柄だったか。

若くて優秀な女性部下たち、そして私の無力感

私の部下は全員女性です。そして私より若くて優秀です。

仕事は確実、丁寧でミスがない。私が持っていない専門資格を持っていて、私がよりはるかに知識がある。「はっきり言って昔の私より圧倒的に優秀だ」。これが現実です。

それに加えて、コミュニケーションの難しさ。

セクハラと思われたくない。パワハラと言われたくない。だから注意したいことがあっても、言葉を選びすぎて結局何も言えなくなる。「それ、ちょっと違うと思うんだけど…」と思っても、どう伝えればいいか分からず、黙ってしまう。

ある日、部下のAさんが「雪だるま係長、前回の打ち合わせでは○○って言ってましたよね?」と相談に来ました。私は「ああ、そうだったね」と答えました。

でもその翌週、別の部下のCさんが同じ件で相談に来たとき、私は全く違う答えをしてしまったんです。なにしろ色々な部下から様々な相談が持ち込まれるので、かなりの混乱状態でした。

そして数日後、AさんとCさんが私のところに一緒に来て、こう言いました。

「前と話が違うじゃないですか」

私より10歳以上若い部下に、冷静に指摘される。その瞬間の恥ずかしさ、情けなさ。言葉になりませんでした。

他部署との調整で感じる「当たり負け」

係長の仕事で最もストレスを感じるのが、他部署との調整。

ある日、別の部のD課長代理が私に一つの仕事を持ち込んできました。仕事を受けるということは、部下の仕事も増えるということ。かつての経験から「上司の仕事は部下の仕事を減らすこと」だという思いが強かったので、そんな仕事を受けるとは言いたくありませんでした。

私は係長としてなんとか押し返そうとしました。しかしD課長代理は私よりずっと年上で、経験も豊富な先輩です。

「これ、あなたの係で担当してよ。」

当たり前のように言い放ちます。そんなはずはない、過去の経緯からいっても、D課長代理がやるべきだ!と思っていても、言い返せませんでした。いわば先輩の迫力に「当たり負け」してしまったんです。

「…分かりました」

結果、本来なら受けるべきでない仕事を、うちの係が引き受けることになりました。上司にも、部下にも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

上司の「おいおい頼むぜ」という言葉

そんな私に、上司の課長がいつも言う言葉があります。

「おいおい頼むぜ」

他部署に仕事を押し付けられたとき。部下からクレームが上がってきたとき。スケジュールが遅れているとき。

「おいおい頼むぜ」

この言葉、本当は私にイライラしているんだろうけど、はっきり言うとパワハラになっちゃうkら、押し殺しているんですよね。「言う通りにちゃんとやってくれよ」「当たり前のことやってくれよ」という、半ば呆れも含んだ響き。

出世コースを順調に歩んで経験を積んできた課長には、私は本当に頼りない部下に移るでしょう。でもこちらも初めての係長で、どうしていいか分からない、というのが正直なところです。

後悔しか残らない、昔の自分への反省

夜、ベッドの中で一人で考えます。

「あの時の上司も、こんな気持ちだったんだろうな」

部下時代の生意気な自分。文句ばかり言っていた自分。上司の苦労を理解しようともしなかった自分。

前の職場の上司にもしあうことがあれば、「あの時はすみませんでした」と謝らなければならないでしょう。

係長という立場になって初めて、マネジメントの難しさを知りました。そして、自分の無知と横柄さを思い知りました。

でも、これは決して「能力不足」じゃない

ここまで読んで、「やっぱり自分はダメなんだ」と色々思い出して落ち込んでしまうでしょう。

もちろん経験や能力的にはまだまだかもしれませんが、それだけじゃないです。

私たちがしんどいのは、能力が足りないからじゃない。構造的な理由があるんです。

準備期間がなかった

本来なら、もっと経験を積んでから係長になるべきでした。でも我々の世代は組織の採用抑制もあって数が少なく、「繰り上げ」で昇格してしまった。これは私たちが選んだことじゃない。

ロールモデルがいない

50代の先輩はパワハラ、セクハラ上等の世代、40代の先輩もまだ若干それが許された時代の名残を感じます。したがって先輩たちをそのままお手本にしてしまうと確実にアウトです。誰の背中を追えばいいのか、よくわからないんですよね。

係長は最も板挟みになる立場

上司からはプレッシャー。部下からは突き上げ。他部署や外部からは押し込まれる。三方向から圧力を受けるのが係長というポジションです。

時代が変わった

ハラスメント意識の高まり、働き方改革、価値観の多様化。今のマネジメントは、昔より何倍も難しくなっています。

これらはすべて、私たち個人の能力とは関係ない、外的要因なんです。決して他責思考というわけじゃなくて「すべて自分が悪いわけじゃない」と思っておくのは心の安定を保つため、大事なことだと思います。

この経験は、必ず財産になる

今、私は正直しんどいです。でも最近、少しずつ考え方を変えるようにしています。

この経験は、きっと無駄じゃない。必ず将来の財産になると。

今、私達が学びつつあるもの

謙虚さ:昔の生意気な自分を反省できる。これは成長した証拠です。

多角的な視点:上司の苦労、部下の気持ち、他部署の事情を汲んで考えられるようになってきた。

ストレス耐性:理不尽な状況に耐えながら、それでも仕事を続ける強さ。

コミュニケーション能力:女性部下との接し方、外部や他部署との交渉。デリケートな調整をする力。

これらは、一担当者のままでは身につかなかったでしょう。

5年後、10年後の私たち

今の苦しみは、必ず私たちを強くします。

困難な状況で係長やグループリーダーを経験した人は、将来、きっと部下の気持ちが本当に分かる上司になれます。

「あの頃は本当にしんどかったな」と笑って振り返れる日が、必ず来ると思っています。

同世代の係長、リーダーたちへ:今日からできること

完璧な係長になる必要はありません。私もまだまだです。でも、小さなことから始めましょう。

上司に具体的に相談する

「おいおい頼むぜ」と言う上司でも、「この件で困っています」と具体的に伝えれば、何かしらの助言はくれるはずです。

部下の能力を認めて任せる

能力の高い部下なら、むしろ信頼して任せる。完璧にコントロールしようとしない。

自分を許す

ミスをしても、混乱しても、それは能力不足じゃなく「経験不足」。誰もが通る道です。

同世代の仲間と話す

同じ立場の係長仲間と、愚痴を言い合える関係を作る。それだけで本当に救われます。最近、1年目係長同士で、よくランチしています。

まとめ:私たちは一人じゃない

係長がしんどいのは、私たちの能力不足じゃありません。

組織の構造、立場の特性、時代の変化。いろんな要因が重なって、そう感じやすくなっているだけです。

全国には、私と同じように悩み、苦しみ、それでも毎日職場に向かっている元ゆとり世代の係長がたくさんいます。

昔の生意気な自分を後悔できるということは、私たちが成長している証拠です。

部下の能力を素直に認められるということは、謙虚さがある証拠です。

しんどいと感じながらも仕事を続けているということは、責任感がある証拠です。

だから大丈夫。私たちは間違いなく、良い係長になっていきます。

今年一年、お疲れさまでした。来年も、なんとか頑張っていきましょう。


この記事を読んでくれた同世代の係長へ

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